2020年5月20日 11:39【自治体の脱プラ・その2】東日本の自治体の脱プラスチックへの取り組み

軽くて加工しやすいプラスチックは私たちの生活のあらゆる場面で使われていますが、細かなごみとなって海に滞留し、さまざまな生物の体内に溜まったり、プラスチックごみの焼却によって二酸化炭素や化学物質が大気中にあふれ、地球温暖化を加速させたりしています。

このため、世界中で脱プラスチック(脱プラ)を目指す取り組みが進められており、日本国内でもいろいろな形で脱プラの活動が展開されています。

今回は、東日本(関東地方~北海道)の地方自治体で行われている脱プラスチックに関する取り組みをご紹介します。

 

埼玉県所沢市の「マチごとプラスチックごみ削減宣言」

急須でお茶を入れる様子

埼玉県所沢市では、2019年12月に市長が「マチごとプラスチックごみ削減」を市役所職員に向けて宣言し、マイボトルやエコバッグの活用など、市役所内で率先して脱プラの活動を進める取り組みを始めています。

例えば、「トコエコ・レンタル もてなし茶お!」と題して、市役所内で会議を行うときにマイボトルを持ってきていない人が使えるよう、資源循環推進課から急須や湯呑を貸し出す取り組みを行っています。

さらに資源循環推進課が所有していない水出しボトルやジャグポットなど、各課が貸し出しできるものをまとめ、各所属間で貸し借りを行う「トコエコ・レンタル 貸し借りし茶お!」という取り組みにも発展させています。

 

市民への啓発活動としては、毎年7月に「キャンドルナイト」という脱プラをPRするイベントも行っています。

電気を使わないやさしい灯りの下で環境への思いを広げる「キャンドルナイト」と、所沢のお酒や産直の食材を用いた料理を手軽に楽しめる「出張ちょいバル」を同時開催して、環境活動を気軽なところから始められるようにしていこうというものです。

その他、子どもたちに脱プラを考えてもらうきっかけ作りとして、オリジナルの紙芝居『ひろいうみのおはなし』を制作し、保育園で読み聞かせを行う啓発活動も進められています。

 

神奈川県横浜市の木製ストロー開発

神奈川県横浜市では、2019年11月から木製ストローを民間企業と協力して独自開発し、他自治体や市内企業と連携したプロジェクトとして普及・展開を目指す取り組みを行っています。

 

市が保有する山梨県道志村内の水源林の間伐材を使った薄板を作り、それを原料に横浜市内の企業や福祉作業所などが木製ストローを製造、市内の飲食店やホテルなどで利用していくというものです。

環境・経済・社会の側面から総合的に課題改善を図るビジネスモデルの実現を目指しています。

 

岩手県のエコ推進キャラクター活用

エコ活動を促進するためキャラクターを制作・起用する自治体は多くありますが、継続して活動し続けることは容易ではありません。

岩手県の3R推進キャラクター「エコロル」は、2013年に誕生した後、さまざまなところへ出向き、活動を広げています。

 

エコロルは、岩手県の3Rに基づいたライフスタイル「もったいない・いわて3R運動」を推進するキャラクターとして誕生しました。

「魔法」と「根性」で3Rを広めるために飛び回っている妖精で、特技は「再生ダンボールで空を飛ぶこと」というちょっとユニークな設定。

頭に載せたミラクルポッドでペットボトルをTシャツにリサイクルしたり、マイボトル・マイ箸をかばんに入れて持ち歩いていたり、古着でおしゃれを楽しんでいたりと、エコ意識の高さが伺えるプロフィールになっています。

 

食育キャラバンに登場したり、幼稚園・保育園を訪ねてクイズやダンスを楽しんだりと、さまざまなイベントに出演。

ほかにも、さまざまな表情や服装のペーパークラフトが作れる図面や、店舗や施設などの掲示物・配布物に利用可能なイラスト素材を県のホームページで提供するなど、楽しさいっぱいの活動が続けられています。

 

北海道札幌市の庁舎内でのエコバッグシェア

エコバッグを持った女性

2008年に「環境首都・札幌」を宣言している札幌市では、市職員が率先して取り組みを進めるため、職場にエコバッグを持ち寄ったり、ペットボトルの使用を控えたり、プラスチック製以外の製品を購入したりする取り組みを行っています。

特にエコバッグの持ち寄りについては、本庁舎の壁にフック付きの磁石をつけてエコバッグをかけておき、昼休みの時間帯に職員が利用する「エコバッグシェアコーナー」を設けています。

エコバッグを取ると下から「レジ袋を減らしてくれてありがとう!」というメッセージが現れるなど、利用者がうれしくなるようなちょっとした工夫もプラスされています。

 

おわりに

今回は、北海道、東北、関東地方の自治体で実施されている脱プラスチックの取り組みをご紹介しました。

ネーミングをちょっと楽しいものにして印象づけたり、普及啓発に印象的なキャラクター設定を行ったりと、これから脱プラの取り組みを始めようという企業や団体にとってヒントになる脱プラの試みがいろいろと進められています。

脱プラスチックの施策を長く続けるためには、気軽に楽しく取り組める要素も重要です。

今回ご紹介した取り組みを参考に、脱プラスチック・減プラスチックへの取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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